サロン・ド銀舎利

言えぬなら記してしまえとりあえず

インドアサマー

移住した。

盆休みはほぼ全て引越しに費やされて残すところあと2日。

 

某北欧家具の組み立てが思いの外大変だった。わたしは設計職、夫は施工職が本業なので、わたしが説明書を読み上げながら次に使う部品をセッティングし、順番に夫に渡し、組み立て作業をしてもらうという分業でそこそこスムーズにやることができたのだが、某北欧家具はデカいうえに部品の精度のばらつきが日本のそれよりも多く、4品目を組み立てる頃にはもうヘトヘトだった。作業中、夫が「レンタル彼女とかで、一緒に家具を組み立てるとかはあるのかな?」というトンチキな疑問を投げかけてきたので、「それはプレイとしてはいささかマニアックだし、男の部屋へ行くというのは一定のリスクもある。そもそも、家具の組み立て作業の戦力になる女性は控えめにいっても多数派ではない。しかし例えば、小劇場などで演劇をやっていて、日常的に大道具製作でゲンノウを振るっているような若い女性が、生活費と演技力の向上のためにレンタル彼女業をやっているというストーリーは十分あり得る。」というマジレスをしておいた。

 

わたしの父は進んで家事を行うタイプではなく、手際も要領も良くなく、いつも母に「やり方が悪い」と罵られながら渋々やっていた。子供の目から見て、それはあまり気持ちの良いものではなかった。だから、わたしは何となく男性が家事をすることにネガティヴなイメージを抱いていた。

しかし、夫はわたしよりもずっと手際が良く、気も回るため、戦力としての土台が父とはまるで違う。しかも、わたしの「おれのかんがえたさいきょうの段取り」に理解を示し、それに寄り添ってくれる寛容さもある。わたしはこの善い人間の自尊心を大切にし、惜しみなく感謝を伝えてゆかなければならないと、心の底から思った。こんな善い人と結婚出来たのは、わたしがそこそこ善く生きてきたからだよな、過去の自分まじありがとうありがとう!

もちろん、父も悪い人間では無いのだが、わたしと父の能力値のバランスが酷似しているため、父のようなタイプの人間と結婚して、わたしがリーダーシップを発揮してしまったら、船が山に登るが如くうまくゆかないだろう。両親の関係性も、父がリーダーシップを発揮し、母が父を尊重すればもっと円滑に家事がこなせるような気もするが、なんか二人の歴史の中で嫌なことが積もり積もってそうなったのだろうし、二人の間でしかわからない何かがあったり、子供からしか見えないものもあるんだろうなあと、そんな風に思った。そして、これからうちも家族が増えるにつれて関係性の変数が増えて、各々の役割も変化するのかなあとも。いずれにせよ、各人の幸福度が最大限になるように調整するのがわたしの役割だと思ってやっていきたい。

 

とまあ、ようやく新婚らしい浮かれた新婚生活を送っている。なんやかんや忙しいとはいえ、いつものお盆休みのように夏フェスに行きお外で目一杯遊び尽くすのに対し、今年は家の中でずっと過ごしているため、穏やかな夏休みといって差し支えないだろう。冷夏で天気もパッとしないし、たまにはこんな夏もいいだろう。来年は夫に乳呑み子を預けてぜひ半日だけでも夏フェスに行きたい。