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サロン・ド銀舎利

言えぬなら記してしまえとりあえず

いかにしてダッフィーの耳を着けるのか

TDRへ行くことになった。しかも、陸と海の二本立てだ。

 

ヴェネツィアゴンドラ?乗ったことあるよ、ヴェニスで。」

「あ、仕事でバックヤー…あ、これは言っちゃいけないやつだったw」

 

おれはそういう奴だった。いや、現在もどちらかと言えばその類のマウンティング羅刹だ。「同姓にむりやりかっこいいねと言わせる検定」があれば間違いなく1級だろう。最近は「サバサバ系」と言われ侮蔑の矛先が向いてはいるが、依然、この世界に「守られたい女」がいる限り、わたしはかれらから「かっこいいね」を搾取し続けるだろう。かれらは「こいつとちがって男に守られていて安心なわたし」を実感できるし、win-winである。甚だバカバカしいが、女性同士では「わたしはあなたの存在価値を脅かさないよ」というエクスキューズが大事なのだ。ほら、わたしは一人で獲物を得られるよ。でもこの生肉、あなたみたいな上品な女は食べないでしょ?それに、あなたには果物を取ってきてくれる男がいるものね、わたしにはいないけど。わたしは仕方なく自分で獲物を狩っているのよ。守られているあなたが羨ましいわ。

嘘だ。狩りも楽しいし肉も大好きだし、おまえの男よりわたしのほうが狩りがうまいよ。わたしには頼もしい狩りの仲間だっているんだよ。狩りが、もとい肉が好きでほんとうによかった。

 

さて、「テレビ見ないんだよね~」「趣味はローカル鉄道一人旅です」に代表される、「大衆とはちょっと違う自分」を内面化した面倒くさい人間にとってTDRは本来、南米よりも遠い場所である。(いや、逆にいま敢えてのTDRっしょ、という向きもあるが、彼らはほんの少しのアミノ酸を味わえる特殊な舌の持ち主だ。)であるからして、ダッフィー(最近覚えた)の耳をつけた自分は、ペルーのコンドルまつり(野生のコンドルを捕まえて酒を飲ませる奇祭)を見物しながらチチャ酒をあおる自分より遠かったはずである。

しかしである。前述の狩りの仲間が、何でもかんでもよく食べる雑食生物、すなわち熊であったのだ。熊はいつも魚や穀物の旨さについて、目をキラキラキラキラ輝かせながら説いてくる。眩しさのあまり魚は試してみたが、あれは肉と同じタンパク質なのでうまかった。だが、糖質、てめえはだめd……わっ、なんだ、やめろ眩しい……!

かくして、はらぺこ狼は熊のお供で夢の舞浜へ甘く瑞々しい果実を狩りに出かけることとなった。

 

通常、狼は果物を食べない。飼い犬でさえ果物を欲しがったのを見たことがない。かくなるうえは形だけでも熊のふりをするのだ。「わたしは熊だから果物も大好き!」、そう思い込むのである。食べてみれば果物にだってアミノ酸や生臭みを見出すことができるかもしれない。

そこで、ダッフィーですよ。

意味がわからないと思った方に説明すると、ダッフィーとはミッキーがミニーにプレゼントしたという謂れのある熊のぬいぐるみだ。キティちゃんでいうところのチャーミー的なやつだ。(余計わからん)ところで、全然関係ないが、クレイジー・ケン・バンドの「OOPS!! KITTY CHANG」は最高にゴキゲンでファンキーな名曲だ。

さて、ダッフィーに話を戻す。鬼畜ネズミに剥製にされてしまった哀れな存在とはいえ、奴も熊のはしくれ。あいつの耳の皮を被ればわたしも冬眠前の山親爺のような強靭な胃袋を得ることができるかもしれない。ファンシーでドリーミーな魔法の国を喰らい尽くしてやるわ。ウェ~~イ、ちょうたのしみ^^^^!!!うっひょーー!ミッキーと握手できるかな~~~ドゥフフフフフフフwwwwww

 

目を閉じれば見える。帰りの京葉線で「この車両、みんなTDR帰りだね^^ウフフ」という未来が見える。

おれは自分が実は狼ではなく雑食の狸である可能性について、受け入れてみようと思う。

 

大丈夫、ネズミたちのアジトを制圧した後は、最終日にウヨ◯がウヨウヨするタイミングの都内某所という、アミノ酸たっぷりの生肉を用意してある。

 

 ↓ ネズミによって剥製にされた無残な姿