サロン・ド銀舎利

言えぬなら記してしまえとりあえず

ニホンブンカよコンニチハ

この一週間で、全然知らなかったことを2つ知った。

 

一つは水石。

水石 - Wikipedia

お茶やお花とともに伝来し後醍醐天皇が愛した由緒正しい趣味らしいが、もう何というか地味だ。川で採取した石を自然の風景に模してディスプレイしたものなのだが、プチ枯山水という趣きだ。一つの石から大宇宙を感じるのが醍醐味だそうだが、お茶やお花のように広く一般に流行らなかったのも頷ける。高校に水石部が無いのも。

いや、お前がものを知らないだけで水石とか常識だろ、という意見もあるかもしれないが、少なくともわたしも、それより30年近く長く生きている同行者も今まで全く遭遇せずに生きてきたという。

しかし、実際、まとまった規模で良い作品を見ると、魅力を感じて嵌まり込む人がいるのも頷けるなとは思った。わたし個人としては、鑑賞するならもっと動くもの(アクアリウムとか)の方が好きだけれど。あと、どちらかというと、川に石を拾いに行くフェーズの方が面白そうだ。豊かな自然の中で、心にグッとくる石に出会う偶然に心をときめかせるなんて、冒険ロマンとしか言いようがないではないか。

 

もう一つの出会いは萩の花だ。萩とか月とかに所縁のある地へ越してきたので、萩まつりとやらに足を運んだ。おはぎとぼたもちが同じものなので、萩も牡丹のようなノリの大輪系だと漠然と勘違いしていたのだが、マジで全然違った。こればっかりは常識の範囲の知識が欠如していたとしか言いようがないのだが、そういえばなんかテレビで萩の花のつぶが小豆っぽいからおはぎと言うみたいな話を夕方の情報番組で見たようなことを漠然と思い出した。こじつけにもほどがある。

で、萩の花はどうだったかというと何だか地味で、わたしは秋生まれなのだが、若干がっかりした。彼岸花は名前も曼珠沙華とか派手でいい感じだけど。とにかくわたしは派手なものが好きなのだよ。

ただ、萩の花はまとめて植えてあると野趣にあふれ、魅力はわかった。ススキと並べて茶室の外に植えたい。茶室もってないけど。夕暮れ時、東に十三夜の月、虫の声などがドッキングすると、あまりにベタすぎるが、まさに言うこと無しだ。

 

やはりかの北の大地より、圧倒的に文化レベルが和風に洗練されている。流石は由緒ある大大名の城下町である。わたしは日本人というアイデンティティが薄く、どちらかというと道産子という立場にそれを仮託していて、ゆえに倭人の文化はまるきり異文化なのだ。

風土は亜寒帯。ケプロン・クラーク・エドウィンダン・ホィーラーたちアメリカ人教師、新戸部稲造、内村鑑三三岸好太郎安田侃砂澤ビッキ。レンガと軟石と下見板にトタンの屋根、原色のペンキ塗装。広大な田畑にコンバイン、干し草ロールとサイロ。小豆にはバターと白砂糖、芋はジャガイモ、肉は豚。アカシア、ポプラ、ダケカンバ。お隣さんはユジノサハリンスク

 

同じ政令指定都市とはいえ、都市の成り立ちが違えば、根底にある文化は大きく変わる。住む人も然りだ。

開拓者の街から、大大名の街へ。生まれる子にとっては、ここが故郷だ。子供と一緒のレベルで知らないことを沢山知り、街を構成する新しい要素として一体と馴染んでいけたら、それは全く面白い。