サロン・ド銀舎利

言えぬなら記してしまえとりあえず

けんせつ小町、だれのこと?

女でもなれる何かになりたいと思いたかったが思えなかった。

 

ふつうだと女にはなれないはずの何かになってしまった。そういうものに近頃世間は「◯◯女子」というラベルを貼るそうな。

 

大学の進路指導の担当は、男子はゼネコンへいけ、女子は公務員になれと言った。女子は受注側の仕事はできないと言った。

その講師は、世間をよく知っている親切な人間だったのだと思う。教え子に女性ならではの嫌なあれこれを経験してほしくないという親心だったのだろう。

 

結論を言えば、彼は正しい進路指導をした。もちろん、大学という場での発言として政治的に適切ではない。まあ、控えめに言っても差別だし、当時学生の間でも否定的な意見が多かったように思う。ただ、ゼロ年代という時期に学生を社会に送り出すうえではナイスな采配であった。

なぜなら、彼の言うことをまったく聞かずに受注側の仕事をしているわたしが、後輩には彼と同じことを言うと思うからだ。

わたしは受注側の立場ならではのあれこれでほんとうにひどい経験したが、現在はまあまあ何とかやっている。仕事も好きだし、頼りにされるのもうれしい。大学で勉強した知識が役に立ち、国立大学の授業料の元はじゅうぶんにとっている。(親にマジ感謝)

ただし、後輩におすすめするかといえば、勧めない。先人が敷いたレールをうまく踏み外さず歩ける仕様の人間には逆に難しいと思うからだ。ここはまだ未開の地だ。周囲をなぎ倒して進むのに適した装甲をもった人間か、邪魔な木々をすり抜けられる人間でないと、まだつらい。要するに、教師や親の反対、会社の男性社員、取引先の男尊女卑おじさんをなぎ倒す残酷さか、とことん空気を読めない鈍感さが必要なのだ。

進路担当の言うことを素直に聞かないか、そもそも人の話を聞いていないような人間のことだ。わたしは前者であるが、ほんとうのパイオニアは後者だろう。

 

ここにリケジョやけんせつ小町の限界がある。

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ナイスダサピンク!

 

現状、「難しく考えなくてもいいんじゃない~?」という鈍感タイプと「誰が何と言おうと私はやる」という豪傑タイプしかいないフロンティアに「わたしでもできるかな…?(チラチラとこちらをみている)」という小動物のような新人が来たとする。

鈍感タイプは「大丈夫だよ~(根拠なし)」とは言うが、さほど後輩の面倒は見ないだろう。残念ながらこのタイプは人の悩みにもわりと鈍感だ。

豪傑タイプは「不安がるくらいならやめときなよ」と言うだろう。実際入ってきても、「嫌ならやめろ」理論で厳しく指導する。このタイプは自分並みの反骨精神を他人にも求める。

安易に「女性同士だから」ということで若い新人をこれら旧人類のもとにつけるのは愚の骨頂だ。だから、旧人類たちとうまく折り合いをつけた周囲の(寛大な)男性の下に置くのが無難だろう。「男性的な女性」よりも「女性的な男性」の方が「女性的な女性」に近い生き物なのである。

そんなこんなで、もう想像しただけでげんなりするのだが、今後間違って戦闘力控えめな女子が入った現場では「女めんどくせえな!!」ってなるだろう。なるよね。セクハラを予防しても、トイレを綺麗にしても、「女のために特別な配慮」してる時点で現場はめんどくせえのよ、実際問題。

 

なにも、若い女入ってくんな!と言っているわけではない。いろいろとミスマッチを避けるためには、「◯◯女子」みたいにもてはやす方向は無理があるし、うまくいかないんじゃないかと思うのだ。

今はまだ、あくまで過渡期。偉い人から女を増やせとか色々言われてるのかもしれないけど、こちとらダサピンク色の女を受け入れる余裕はないのだよ。鈍感タイプがうっかり見つけたフロンティアを豪傑タイプが汗だくで開拓してるのが現状なの。

だから、今いちばんほしいのは面倒見の良い「おかんタイプ」。キラキラしてなくていいから、地道にどっしり根を張ってほしい。

そこで、いい中小企業には必ず一人いる「めちゃくちゃ気が利く事務さん」にヘルメットを渡して現場に連れて行こうよ。いつも私達がお世話になっている、書類が遅くて迷惑ばかりかけている彼女らのことだ。まずは図面を見せてみよう。現場を体験させてみよう。◯◯女子をやりたい人を新しく募るよりずっといい。彼女らの能力の高さ、仕事に対する真面目さはあなた達が一番よく知っているではないか。

そして、事務所労災から現場労災に切り替えよう。作業員名簿に名前を書こう。正社員にして男性と同じ給料を払おう。絶対にもっといい会社になるはずだ。そしたらきっともっといい社会になるはずだ。